抄録
症例は61歳,女性.左乳頭直下の腫瘤にて受診,非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ;DCIS)と診断した.同側乳房下溝線の頭側に,“ほくろ”として自覚していた皮膚扁平隆起性病変が存在したが,同時切除は希望されず,左乳房切除術を施行した.センチネルリンパ節生検陰性で,腋窩郭清は省略した.病理組織診断はDCISで乳頭や皮膚に病変はなく,ER(+),PgR(-),HER2(3+)であった.術後3カ月目に“ほくろ”の切除を希望して形成外科を受診,皮膚腫瘍切除術が行われた.病理所見でPaget病(in situ),DCISと同様にER(+),PgR(-),HER2(3+)であった.両病変に明らかな浸潤部を伴わず,肉眼的にも組織学的にも連続性がないことから,DCISに併存した同側乳房内異所性Paget病と診断した.極めて稀な症例と思われ,若干の文献的考察を加え,報告する.