日本臨床外科学会雑誌
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症例
右鼠径ヘルニア嚢内に嵌頓し穿孔をきたしたS状結腸癌の1例
鈴木 晋永井 佑水戸 正人丸山 智宏佐藤 友威青野 高志
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キーワード: 鼠径ヘルニア, 大腸癌, 穿孔
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2019 年 80 巻 2 号 p. 373-378

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抄録

症例は81歳,男性.右鼠径ヘルニアおよびヘルニア内容であるS状結腸に癌が認められ手術予定であったが,術前検査中に右総腸骨動脈瘤を指摘され動脈瘤に対する治療を先行した.ステントグラフト内挿術後2病日に右鼠径部の膨瘤増大,腹痛,嘔吐があり,CTでヘルニア嚢内に嵌頓している結腸に穿孔が疑われたため緊急手術を施行した.鼠径部切開でアプローチすると,嵌頓しているS状結腸癌が穿孔しヘルニア嚢内に腸液が充満していた.腹腔内に汚染は認められなかった.侵襲を小さくするため正中切開は行わず,鼠径部切開創からHartmann手術を施行した.鼠径ヘルニアはBassini法で修復した.術後創感染を認めたが40病日に退院した.鼠径ヘルニアの嵌頓内容が大腸癌で,さらに穿孔した症例は極めて稀である.自験例は高齢で全身状態不良であったため切開創は鼠径部のみとし,また,吻合は行わず人工肛門造設し比較的良好な経過が得られた.

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© 2019 日本臨床外科学会
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