2019 年 80 巻 5 号 p. 848-853
症例1は52歳の女性.健康診断のマンモグラフィにて右乳房に集簇する微細石灰化を認め,精査にて乳癌と診断した.乳房部分切除術+センチネルリンパ節生検を施行し,病理組織は非浸潤性乳管癌であった.遺伝性乳癌卵巣癌を疑い,遺伝学的検査にてBRCA2遺伝子に5,903delGの変異を認めた.症例2は45歳の女性,症例1の母方従妹である.左乳房に腫瘤を認め精査し乳癌と診断した.同遺伝子変異をもち,乳房全摘術+腋窩リンパ節郭清と同時に両側卵巣卵管切除術を施行した.病理組織は乳頭腺管癌であった.本家系は4世代にわたり両側乳癌,多臓器重複癌,若年発症の乳癌を含む7名の乳癌患者を認めた.家系内のスクリーニングにて5世代目にも変異保持者を1名認め,定期的なサーべイランスを行っている.BRCA遺伝学的検査は遺伝性乳癌の診断や乳癌および卵巣癌の一次予防,術式や薬物療法選択の判断に有用である.