2019 年 80 巻 6 号 p. 1141-1146
症例は72歳,男性.胃体中部に3型進行胃癌と肝S4に転移巣を認め,Stage IV進行胃癌の診断でS-1+オキサリプラチン療法(以下,SOX療法)を開始し,1コース目の第13日に上腹部痛が出現した.化学療法中の胃癌穿孔と診断し,緊急手術としてリンパ節郭清を伴う胃全摘術を行った.腫瘍部に一致して胃体中部前壁で穿孔しており,組織学的効果判定はGrade3であった.術後合併症なく第17病日に退院となり,第35病日よりSOX療法を再開した.肝転移巣の縮小を認め,新規の転移巣も出現しなかったため腹腔鏡下肝S4亜区域切除術を施行した.肝切除術後8カ月(治療開始から16カ月)経過したが,無再発生存中である.化学療法中の胃癌穿孔症例は化学療法の効果の高い症例が多く,その後のconversion surgeryの可能性を念頭に置いた治療方針を検討するべきと思われた.