日本臨床外科学会雑誌
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症例
虫垂腫瘍との鑑別が困難であった虫垂間膜デスモイド腫瘍の1例
前田 真吾木下 敬史小森 康司大城 泰平大内 晶清水 泰博細田 和貴
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2020 年 81 巻 10 号 p. 2062-2066

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抄録

孤発性の腹腔内デスモイド腫瘍は非常にまれな疾患である.今回,虫垂間膜発生の孤発性デスモイド腫瘍を経験したので報告する.患者は58歳の男性で,胃癌術後のフォローアップCTで虫垂に接する腫瘤を指摘された.下部内視鏡下に生検を試みたが腫瘍細胞は採取できず,虫垂腫瘍の術前診断で手術の方針となった.腹腔内所見は,盲腸・虫垂の背側に漿膜の白色変化を伴う腫瘤が確認され,D3郭清を伴う腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.病理組織学的検査でデスモイド腫瘍と診断された.術前画像診断,術中所見から虫垂間膜原発と考えられた.腹腔内デスモイド腫瘍は小腸間膜発生が多く,虫垂間膜発生の報告は非常に少ない.デスモイド腫瘍の治療の基本は手術による完全切除である.完全切除後であっても局所再発のリスクがあり,術後の定期的なフォローアップが必要である.

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