2020 年 81 巻 3 号 p. 536-541
症例は69歳,女性.66歳時にRa直腸癌(半周性,2型)に対して腹腔鏡下低位前方切除術を施行した.病理所見はT3N0M0 Stage II Aで,補助化学療法は施行しなかった.術後2年7カ月で外尿道口に近接する3cm大の隆起性病変を認め,生検で直腸癌膣転移と診断された.尿道合併切除を伴う腫瘍切除,膀胱瘻造設術を施行し,切除断端は陰性であった.術後3カ月に尿道再建術を施行し,4カ月に膀胱瘻も抜去した.術後補助化学療法は施行せず,術後1年4カ月無再発生存中である.
大腸癌膣転移は稀な症例で,再発部位の解剖学的特徴から他臓器合併切除を要することも少なくないが,適切な画像評価に基づいた術式選択を行い,R0切除が達成されれば良好な予後が期待できる.