2020 年 81 巻 9 号 p. 1703-1709
目的:鼠径ヘルニアに対するtransabdominal preperitoneal repair(以下,TAPP)法による日帰り手術の短期成績を検討し,その安全性を検証した.
方法:2015年11月から2019年12月までに当院で施行された全ての鼠径ヘルニアに対するTAPP法1,408例について後向きに検討した.
結果:平均手術時間74.6分,平均麻酔時間103.5分,平均術後在院時間66.4分,平均退院時疼痛Numerical Rating Scale 1.8,術中合併症8例(0.6%),術直後合併症101例(7.2%),術後合併症74例(5.3%)であった.日帰りで帰宅できたのは1,405例(99.8%)で,アナフィラキシーショック1例,喘息悪化2例が手術当日に入院した.日帰り手術に関連した重篤な合併症は認められず,安全に施行できた.
結論:日帰り手術に特化したチーム医療の仕組みを作ることで,日帰りで行うTAPP法は安全に施行可能で,本邦においても治療選択肢の一つになり得ると考えられた.