2021 年 82 巻 10 号 p. 1929-1934
症例は76歳,男性.陰嚢腫大を主訴に受診.陰嚢の皮膚は発赤し,一部びらんを認めた.造影CTでは,回盲部から陰嚢まで続く膿瘍と陰嚢皮下の軟部組織内にガス像を認めた.鼠径ヘルニア嚢内膿瘍とFournier壊疽の診断で緊急手術とした.下腹部正中切開で開腹し,腫大した虫垂をヘルニア嚢内に確認したが,腹腔からの操作ではヘルニア嚢との癒着剥離は困難であった.鼠径部から陰嚢まで切開し,壊死組織のデブリドマンを施行した.両側精巣に高度炎症が及んでいたため,ヘルニア嚢と共に合併切除した.虫垂とヘルニア嚢との癒着を剥離し腹腔内へ戻した後,回盲部切除を施行した.会陰部皮膚は開放創とした.術中からショックとなり,ICUでの全身管理を要した.創部の感染が落ち着いた後,全身麻酔下に二期的閉創術を施行した.創の治癒を確認し,施設へ退院とした.Fournier壊疽を合併したAmyand's herniaの1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.