日本臨床外科学会雑誌
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症例
同側乳房内に浸潤性小葉癌が併存した葉状腫瘍の1例
大山 友梨奥野 敏隆浅井 沙月石原 美佐
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2021 年 82 巻 4 号 p. 690-696

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抄録

葉状腫瘍には,時として乳癌が併存する.今回,同側乳房内に浸潤性小葉癌が併存した葉状腫瘍を経験したので報告する.症例は67歳,女性.初診の半年前から自覚していた右乳房腫瘤の急速増大を認め,受診した.右乳房CD区域にドーム状に隆起する7cmの腫瘤を認め,超音波検査では円形,境界明瞭平滑で内部不均質な低~等エコーを呈する腫瘤を認めた.針生検で葉状腫瘍と診断,乳房全切除術とレベルIリンパ節郭清術を施行した.病理診断では9cmの境界悪性葉状腫瘍に近接して浸潤性小葉癌が併存していた.葉状腫瘍に乳癌が合併した場合,併存する乳癌に準じた追加治療が必要となる.自験例では同時にレベルIリンパ節郭清術を行い,癌転移陰性であったため追加手術は不要と判断した.術後補助治療として乳癌に準じて内分泌療法を行い,経過観察中である.

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