2021 年 82 巻 4 号 p. 702-706
症例は80歳,女性.切除不能肺腺癌に対しゲフェチニブ内服加療中,効果判定にて施行したCTにて腹腔内遊離ガス像と腸管気腫像を認めた.腹水は認めず腸管血流が保たれていたこと,腹痛および腹膜刺激症状も認めなかったため,ゲフェチニブによる腸管嚢腫様気腫症の診断で,ゲフェチニブ休薬と保存的加療を行った.第10病日のCTでは腹腔内遊離ガス像および腸管気腫像の消失を認めた.経口摂取開始後も腸管気腫の再燃は認めなかった.近年,上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤であるゲフェチニブによる腸管嚢腫様気腫症が少数例報告されている.自験例はゲフェチニブ投与により腸管粘膜の脆弱化および透過性の亢進が生じ,腸管気腫を発症,その破裂により腹腔内遊離ガスを生じたと考える.