2022 年 83 巻 1 号 p. 158-162
症例は76歳,女性.心窩部痛で前医を受診し,同部の有痛性腫瘤を認めたため当科へ紹介となった.肝円索嵌頓白線ヘルニアと診断され,徒手整復施行後に待機的に腹腔鏡下修復術を施行した.術後経過は良好で術後3日で退院し,術後3カ月再発なく経過している.白線ヘルニアは稀な疾患である.中でも肝円索嵌頓症例は自験例を含め本邦で6例のみであり,さらに腹腔鏡下で修復した症例は本邦で2例目であった.白線ヘルニア自体の修復は,直視下での単純閉鎖と腹腔鏡下メッシュ固定の報告があるが,腹壁ヘルニア全体での報告では再発・創部感染率は後者が有意に低く, 術後疼痛も軽減するため,本疾患の術式では腹腔鏡下修復術も選択肢の一つになり得ると考えられた.