日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に脾摘した高CA19-9・CA125血症合併脾嚢胞(長径23cm)の1例
丸山 岳人松本 理奈荒川 敬一青木 茂雄三島 英行酒向 晃弘
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キーワード: 脾嚢胞, CA19-9, CA125
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2022 年 83 巻 11 号 p. 2024-2029

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抄録

症例は20歳の男性で,中学生の頃より左腹部痛を認めていた.2週間前より上腹部痛を認め,精査加療目的に当院に紹介となった.血液検査では,CA19-9 4,642U/mL,CA125 439U/mLと高値を認めた.画像上は左上腹部を中心に23×20cm大の巨大な嚢胞性病変を認め,肝臓や膵臓との連続性はなく,原発は脾臓と考えられた.腫瘍マーカーは高値であったが,画像上は壁在結節などの悪性を疑う所見は認めなかった.術前の経皮的穿刺細胞診では悪性細胞を認めず,嚢胞内容液中ではCA19-9 1,590,000U/mL,CA125 5,000<U/mLと血清よりさらに高値であった.以上より,高CA19-9・CA125血症を呈した巨大脾嚢胞と診断し,腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.手術では,まず嚢胞内容液を吸引し術野を確保してから,脾臓を摘出した.病理組織検査にて類表皮嚢胞と診断され,術後の経過は良好で血清CA19-9とCA125は正常化した.高CA19-9・CA125血症を呈した脾嚢胞の報告は少なく,文献的考察を加え報告する.

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© 2022 日本臨床外科学会
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