2024 年 85 巻 8 号 p. 1072-1077
緒言:腹壁に膿瘍を形成する虫垂炎は比較的稀である.今回,腹壁膿瘍を形成した魚骨による虫垂炎に対し,腹腔鏡手術と経皮的な局所手術のコンバインドアプローチによる手術を施行した症例を経験したので報告する.症例:患者は58歳の男性.1年前に右下腹部の腫脹を自覚した.腹部CTで虫垂内部に線状の石灰化像が認められ,虫垂が癒着している腹壁に膿瘍を疑う腫瘤が認められた.その際は保存的加療により改善した.しかし,再燃・消失を繰り返したため,手術の方針とした.腹腔鏡操作では虫垂切除と周囲腹壁を合併切除し,腹側からの局所手術では膿瘍直上で切開しドレナージを行った.虫垂内には魚骨が認められたため,感染源は除去されたと判断し手術を終了した.術後経過は良好で第6病日に退院となった.結語:腹壁膿瘍を合併した魚骨による虫垂炎に対し,腹腔鏡と局所の両方からのアプローチを施行した症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.