2026 年 87 巻 3 号 p. 320-325
症例は52歳,男性.胃癌に対し腹腔鏡下幽門側胃切除,D1+リンパ節郭清,Billroth-I法再建を施行した.病理組織学的診断はpor>tub2,pT4a,int,INFc,pPM0,pDM0,ly1,v0,pN0,cM0でpStage IIBだった.術後補助化学療法としてS-1療法を8コース施行し,その後は経過観察を行っていた.術後3年目のCTで残胃に接する45mm大の腫瘤を認めた.胃癌再発を疑い,S-1+オキサリプラチン併用療法による化学療法を5コース施行した.しかし,腫瘍が60mm大まで増大したため,診断的治療を兼ねて手術を施行した.残胃と横行結腸に浸潤しており,残胃および横行結腸を部分切除し腫瘍を摘出した.病理組織学的検査ではデスモイド腫瘍の診断であった.デスモイド腫瘍は局所浸潤傾向にあるという特徴もあり,他臓器合併切除を要することも多い.過大な手術を回避するために,超音波内視鏡下穿刺吸引法などによる術前の病理学的診断の検討やCT等による短期間での慎重な画像評価が重要である.