人工知能
Online ISSN : 2435-8614
Print ISSN : 2188-2266
人工知能学会誌(1986~2013, Print ISSN:0912-8085)
技術成果を効果的に伝える表題作成手法に関する研究(自然言語, <特集>「人工知能分野における博士論文」)
千田 恭子
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2006 年 21 巻 1 号 p. 115

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抄録

新しく開発された技術成果がより良く活用され評価されるためには, 広報や評価用の資料に, 専門外の人にもわかりやすく, できれば関心をもちやすい表題をつける必要がある.しかし表題のような短い表現で, 専門的な技術について, 理解や関心を得やすく表現することは難しい.そこで本論文では, 新技術を報じる新聞の見出しのつけ方を分析し, それに基づいた表題作成手法を提案している.そのために, まず新技術に関する論文表題と新聞記事の見出しとの比較分析により, 効果的な見出しの表現方式として, 以下の3パターンを導いた.1.専門的な表現にかえて, 平易な類義表現を用いる 2.開発目的を表す表現を利用して, 開発技術の内容を表す 3.開発技術の実現方法でなく, 特長を示すことで, 技術の新規性を表すそして, 新技術を異なるパターンで表現した表題を用意し, 主に専門外の人(約1100人)に関心や理解の度合いを尋ねるアンケート調査を行い, 各パターンの有効性を明らかにした.また, 上記3パターンに基づく表題を理工系研究者に適確に作成させるには, どんな支援が有効かを明らかにするため1)パターンに基づく表題用テンプレート2)入力用語の難易度評価機能3)論文表題と新聞見出しの対応表現の事例集を提供するシステムを構築し, 理系研究者17名に提供し表題を作成してもらった.そして, 調査会社の一般モニタ(約100名)にその表題を評価させたところ, 上記の支援により一般の関心をよりひきやすい表題が作成できることが明らかになった.

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© 2006 人工知能学会
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