全日本鍼灸学会雑誌
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教育
日本の灸教育の現状
―専門学校を中心に―
箕輪 政博形井 秀一
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2007 年 57 巻 5 号 p. 646-657

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抄録

【目的】日本の鍼灸教育における灸療法指導の現状と課題を把握する。
【方法】2004年4月現在の (財) 東洋療法研修試験財団の学校養成施設名簿に基づく、全国の鍼灸専門学校66校への郵送によるアンケート調査。
【結果】有効回答は62.1% (41/66校) であった。1学年で、基礎実技として習得して、単位数は「2単位」が36.6% (15/41校) で最多、指導内容は透熱灸の時間数が最も長く、無痕灸の4倍以上であった。艾〓の大きさは米粒大以下の小艾〓が主流で、七分灸や八分灸の手法を多く用いていた。8割以上の学校で灸療法は大変有効であると答えていたが、臨床実習での施術指導は約半数に留まっていた。実技指導上の問題点は火傷が最も多かったが、9割以上の学校で学生同士の施灸指導をしていた。
【まとめ】日本の鍼灸専門学校における灸療法指導の概要を明らかにした。今後は、日本の伝統的な灸療法を堅持しながらも、特に火傷問題を中心にした安全性に関する議論を早急に始める必要がある。あわせて、現代日本鍼灸臨床における灸療法の実態調査が必要であると考える。

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© 2007 社団法人 全日本鍼灸学会
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