全日本鍼灸学会雑誌
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最新号
全日本鍼灸学会雑誌
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巻頭言
原著
  • 村越 祐介, 石井 輝, 藤本 英樹
    2024 年 74 巻 1 号 p. 2-12
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/05/29
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は、 スポーツ選手に対する円皮鍼の有害事象を前向きに調査することである。 【方法】対象は中学女子バスケットボール選手23名とし、 方法は前向き調査研究とした。 円皮鍼は選手自身が練習前に貼付し、 練習終了後に抜去し有害事象の調査を可能な限り1年間繰り返し実施した。 円皮鍼 (セイリン社製パイオネックス) は0.6mmを使用し左右大腿前面部の合計6部位に貼付した。 調査項目は(1) 練習中の円皮鍼による不具合の有無、 (2) 不具合によるプレーへの支障の有無などとした。 有害事象は参加人数および計6部位に対する発生頻度を算出した。 【結果】1年間で計25回の調査を実施した。 解析対象となった選手は18名で平均参加回数は20.1±4.1回であった。 のべ参加人数は362名、 のべ使用円皮鍼数は2,172本であった。 のべ参加人数に対する有害事象の発生頻度は20.99% (76件)、 有害事象によりプレーに支障をきたした頻度は5.80% (21件) であった。 のべ使用円皮鍼に対する計6部位の有害事象の発生頻度は9.16% (199件)、 有害事象によりプレーに支障をきたした頻度は2.58% (56件) であった。 有害事象では 「チクチクした」 が 3.89% (88件) と最も多く、 次いで 「途中で剥がれた」 が3.14% (71件)、 「気になった」 や 「違和感があった」 の順であり、 その他の有害事象はわずかな件数であった。 医学的処置が必要な有害事象の発生はなく、 有害事象により練習を中断する選手もいなかった。 【考察と結語】スポーツ選手に対する円皮鍼の有害事象では 「チクチクした」 などの軽微な有害事象が多かった。 しかし、 プレーに支障をきたす頻度は低くスポーツ選手に対する円皮鍼施術は安全性が高いことが示唆された。

国際学術交流
  • -灸の現状と安全性-
    鶴 浩幸, 深澤 洋滋, 増山 祥子, 石崎 直人, 若山 育郎
    2024 年 74 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/05/29
    ジャーナル フリー

    3年ぶりに対面形式での 「日韓シンポジウム(JSAM国際部主催)」 が第72回 (公社) 全日本鍼灸学会学術大会神戸大会にて開催された (2023年6月10日)。 今回のシンポジウムのテーマは 「灸の現状と安全性」 であり、 日本および韓国の代表者4名がそれぞれ自国における灸治療の現状について発表し、 活発なディスカッションが行われた。 本稿ではその概要について報告する。

  • 石山 すみれ
    2024 年 74 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/05/29
    ジャーナル フリー

    2023年9月14-17日、 韓国・ソウルにおいてInternational Headache Congress (IHC) 2023が開催された。 大会テーマが 「RISING SUN OVER HEADACHES」 であるように、 新規治療薬であるCalcitonin generelated peptide (CGRP) 関連治療薬やCGRPの次の一手としてPituitary adenylate cyclase-activating polypeptide: PACAP) が注目されていた。 鍼灸関連では、 ランチセミナーとParallel Scientific Sessionにて発表があり、 活発な議論が行われていた。

  • 西村 理恵
    2024 年 74 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/05/29
    ジャーナル フリー

    International Society for Japanese Kampo Medicine (ISJKM) 第6回シンポジウムが、 イギリス、 オクスフォードにて、 2023年9月22日~23日に開催された。 当会は私設のグループから発展した会であり、 今回も参加者は総勢60名程度ということで非常に小さい会ではあるが、 その点を活かし、 お互いが直接的に議論できる、 非常に濃密なシンポジウムであった。 日本漢方と冠した会ということもあり、 毎回一定程度の日本人が参加するとのことだったが、 今回は、 約半数あまりが日本人であり、 通常よりも多い割合であったとのことである。 会場がオクスフォード大学のクライストチャーチ・カレッジであり、 会場の雰囲気やガラディナーなど、 学会参加の付加価値が大きく感じられる学会でもあった。  発表内容は、 それぞれの立場から漢方や鍼灸に対する愛の深さが感じられ、 個性豊かでバラエティに富んでおり、 それも当会の特徴であると思われた。 また、 一つ一つの発表がとても丁寧に扱われている印象を受けた。 発表内容ごとに、 教育・普及に関するセッション、 歴史的展望に関するセッション、 薬植物学・基礎研究に関するセッション、 臨床に関するセッションなどが設定された。 口頭発表とポスター発表の割合はほぼ同数であった。 筆者は自身が所属する小児はりの研究グループで実施した、 発達障害児に対する小児はりの症例14例の報告を行った。 その他、 印象に残った発表と、 その他印象に残った点について報告する。

  • 金子 聡一郎, 深澤 洋滋, 山下 仁, 若山 育郎, 高山 真
    2024 年 74 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/05/29
    ジャーナル フリー

    大韓鍼灸医学会 (KAMMS) 創立50周年記念祝賀会並びに日韓シンポジウムが、 2023年11月に韓国ソウルで開催された。 本稿では、 11月11日(土)のKAMMS創立50周年記念祝賀会の様子と翌日の12日 (日) に KAMMS の秋季学術大会であるFall Academic Conference 2023内に特別企画された日韓シンポジウムでの各シンポジストの発表内容の概要をまとめて紹介する。 韓国側のセッションでは"Collaborative-Based Integrated Healthcare"と題し、 韓国で行われている西洋医学と韓医学による統合医療の取り組みについての報告が、 日本側のセッションでは"Introduction of Acupuncture Clinics in Japanese University Hospital "と題した大学病院での鍼灸・漢方医学教育の取り組みについての講演が行われた。

  • 増山 祥子, 若山 育郎
    2024 年 74 巻 1 号 p. 35-45
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/05/29
    ジャーナル フリー

    2023年度の世界鍼灸学会連合会 (WFAS) 年次大会は、 2023年11月16日 (木) から19日 (日) にかけてタイ王国のバンコクで開催された。 新型コロナ感染症 (COVID-19) のパンデミックにより2020年、 2021 年とわれわれ国際部員はWeb参加だったため、 今大会は4年ぶりの現地参加となった。 第10期執行理事会第1セッションは初日の16日午後に開催された。 本稿では、 執行理事会と学術大会の "Inheriting the Essence and Promoting the Innovative Development of Acupuncture-moxibustion of TCM" (中医学鍼灸の特質の継承と革新的発展の促進) のテーマで展開された学術大会の様子を報告する。  執行理事会では、 WHOをはじめとする国際機関との関係性構築が着々と進められていることが強調して報告された。  学術交流では、 基調講演で、 WFAS会長の Liu Baoyan による質の高い鍼灸の研究促進の意思が終始一貫して伝えられた。 抄録集は、 当日配布されたが、 全発表72演題中35演題 (49%) の抄録しか掲載されていなかった。

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