2024 年 74 巻 4 号 p. 302-313
【目的】慢性一次性筋骨格系疼痛患者における鍼治療効果の検討を目的に、 1) 治療効果に関連する因子を重回帰分析、 2) 治療選択に関連する因子をロジスティック回帰分析により明らかにし、 3) 傾向スコアマッチにより背景を調整し、 通電を行わない鍼治療と鍼通電療法における治療効果を比較した。 【対象と方法】研究デザインは後向き観察研究。 研究対象者は国際疾病分類第11版の慢性疼痛分類に基づいて遡及的に組み入れた。 重回帰分析では従属変数を痛みの変化量とし、 ロジスティック回帰分析では従属変数を鍼通電療法の有無として解析を行った。 通電を行わない鍼治療群と鍼通電療法群における治療効果の比較は、 傾向スコアの算出および傾向スコアによるマッチングを行い、 2群の背景を調整した後に、 痛みの変化を2標本t検定により比較した。 【結果】1) 重回帰分析では、 初診時Visual analogue scale、 Body mass index、 鍼通電療法の有無が痛みの変化量に関連していた。 2) ロジスティック回帰分析では鍼治療の経験および性別が治療選択に関連していた。 3) 2群の比較では鍼通電療法群の方が有意に疼痛強度の減少を認めた (p=0.03)。 【考察】初診時Visual analogue scale、 Body mass indexが治療効果に影響を与える点においては先行研究で示された通りであった。 治療選択においては鍼治療経未経験者に対して通電などの刺激強度の高い治療を行わない傾向にあると考えられる。 通電を行わない鍼治療群と鍼通電療法群の比較では、 両群ともに臨床における最小重要差以上の減少を認め、 疼痛管理に有効である可能性が示唆された。 【結語】慢性一次性筋骨格系疼患者において、 通電を行わない鍼治療と比較して鍼通電療法の方がより治療効果が高い可能性が示唆された。