全日本鍼灸学会雑誌
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臨床体験レポート
発症から1年3ヵ月が経過した左顔面神経完全麻痺の後遺症に対する鍼灸治療の1症例
中村 真理高橋 涼子坂口 俊二
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2025 年 75 巻 2 号 p. 300-307

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抄録

【緒言】発症後1年以上を経過した左顔面神経完全麻痺患者の後遺症に対する鍼灸治療効果について報告する。 【症例】症例:51歳男性。 主訴:左顔面神経麻痺により左顔面が動かず、 さらに後遺症が気になる。 約1ヵ月のステロイド点滴を含む入院治療、 その後1年に及ぶビタミンB12投与とリハビリーションを終えて、 回復は難しいと説明された。 初診時、 柳原法10点、 Sunnybrook法は16点であった。 発症より1年3ヵ月目から鍼灸治療を開始した。 腎気虚が認められたため、 本治法として補気補腎を中心とした配穴に、 標治法として非麻痺側を含む顔面の経穴10カ所への置鍼術と2カ所への八分灸および遠隔部経穴への置鍼術を用いた。 【所見・経過】鍼灸治療開始から1年7ヵ月で計40回の鍼灸治療により、 柳原法は38点、 Sunnybrook法は93点に改善した。 さらに、 ワニの涙現象、 顔面拘縮、 顔面痙攣といった後遺症のスコアも軽減した。 【考察】顔面神経麻痺の後遺症が慢性的で重度であっても、 標本同治による鍼灸治療を集中的に行うことで影響を及ぼすことができたのは特筆すべきことである。

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