全日本鍼灸学会雑誌
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呼吸音オッシロ解析による小児気管支喘息の磁気経絡治療
竹辺 博敏高野 千石
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1981 年 31 巻 2 号 p. 175-180

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抄録
約30例の小児喘息患者につき鍼治療の効果の判定を, 呼吸音のオッシログラフ解析法を用いて検討した。呼吸音のオッシロ解析は, 呼吸音をよく再現する検音素子からの微弱な電流を増幅し, 三栄測器製のペン書きオッシログラフを用いて記録し, その波形から鍼治療の効果を判定した。この方法は, 気管支喘息に特有な呼気性呼吸困難に由来すると思われる呼吸音および副雑音をよく再現記録することができる。
演者らが試みた治療法は, 河野氏の筋診断法による古典経絡診によって, まず異常経絡を判定し, それぞれ異常経の治療穴として母子穴を選定しその虚実に従って, 500ガウス程度の磁極片の固定保持による方法をとった。
治療効果の判定は, 治療前後に呼吸音のオッシログラフを比較し, 呼吸音像の好転および視察による全体状況を判断して決定する。
一般に, アレルギー性喘息患者に対しては自律神経異常を示す場合が多く, とくに気管支筋の特徴的な攣縮が副交感神経の異常状態に由来する場合が多く, この呼吸音解析方法による喘息の治療は鍼刺の効果性を判別するのに有効な手段であると考えられる。
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