全日本鍼灸学会雑誌
Online ISSN : 1882-661X
Print ISSN : 0285-9955
ISSN-L : 0285-9955
モグサの研究 (2)
伊吹山考
織田 隆三
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 35 巻 1 号 p. 66-72

詳細
抄録

目的: モグサの産地として古来有名な伊吹山は滋賀県と栃木県の二ヶ所にあるので両者の関係を究明しようとした。
方法: 歴史に登場する二つの伊吹山・現地の状況, 伝承, ヨモギ等について検討した。
結果: 1) モグサの名所として平安時代に有名だった伊吹山は栃木の方で, 滋賀の登場は安土時代以降である。2) 伊吹のヨモギは栃木・滋賀ともそれぞれ特長を持ち他所にはないとされていた。3) 二つの伊吹山にはそれぞれシメジガ原と呼ばれる土地があり, 双方に似かよった仏教伝説がある。
考察: モグサの産地として最初有名になったのは栃木の伊吹山である。その後滋賀の伊吹山へ移るが, その蔭に山岳仏教が介在していたように思われる。江戸時代に至って滋賀は隆盛をきわめるが栃木は衰退した。

著者関連情報
© 公益社団法人 全日本鍼灸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top