全日本鍼灸学会雑誌
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不定愁訴に対する鍼治療の検討
新患703名の健康チェック表の分析
安藤 由紀石神 龍代皆川 宗徳黒野 保三
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1996 年 46 巻 1 号 p. 18-22

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抄録
今回 (社) 全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班が作成した健康チェック表を使用し, 平成3年8月30日より平成6年8月26日までの約3年間に東洋医学研究所®に来院した新患703名の初診時の健康チェック表を基に調査分類し, 種々検討を行った。
年令別分類では, 50代が175名と最も多く, 40代144名, 60代121名と50代を頂点とした山形パターンを示していた。性別分類では, 男性が285名, 女性が418名で, 男女比は約1:1.5で女性優位であった。新患703名のうち, 重症度判定基準により5点以下あるいは51点以上の除外が45名であった。残りの658名の重症度別分類では, 軽症293名 (41.7%), 中等症265名 (37.8%), 重症100名 (14.2%) であった。層別分類では, 自律神経失調性項目が26.1%, 神経症性項目が20.7%, うつ状態性項目が25.6%, その他の項目が27.6%と約4等分されていた。層別の各項目別分類では, それぞれ特異的な項目に訴えの頻度が高いことが認められた。
以上の結果から, (社) 全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班で作成した健康チェック表を使用することによって, 来院患者の鍼灸診療の診断及び治療計画をより正確に立てることの可能性が示唆された。
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