全日本鍼灸学会雑誌
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〓中穴刺鍼の安全深度の検討 (1) 遺体での胸骨裂孔の形状と胸骨の厚さ, および生体での画像所見による安全深度の検討
尾崎 朋文森 俊豪坂本 豊次于 思湯谷 達竹中 浩司佐藤 正人米山 榮前岡 弘子北村 清一郎
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2000 年 50 巻 1 号 p. 103-110

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抄録

先天性胸骨裂孔 (以下胸骨裂孔) の出現状況や胸骨の厚さを遺体で調査するとともに、生体での画像所見から、胸骨裂孔の有無および〓中穴での体表から胸骨後面までの距離を調べ、〓中穴への安全刺鍼深度を検討した。その結果、51遺体中の1例に胸骨裂孔が認められた。裂孔は第4肋間の高さにあり、形状はほぼ円形、直径は胸骨外面で9mmで、固い結合組織で埋められていた。21遺体での胸骨の厚さは9-15mmの範囲で平均は11.5±2mmであった。生体31例の〓中穴での体表一胸骨後面間距離は11-31mmの範囲で、平均は18.8±5mmであった。これらの結果から、仮に胸骨裂孔が存在しても、〓中穴への刺鍼では、極端な痩せ型を除いて10mmまでは、刺入鍼が心臓に達する可能性はなく、安全と考えられた。

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