全日本鍼灸学会雑誌
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「肺気陰両虚証」の咳嗽に針治療が奏功した一例
徳地 順子丹沢 章八
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2000 年 50 巻 3 号 p. 463-469

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抄録

虚弱体質に起因する慢性の「かぜ (症候群) 」で、薬物治療による顕著な効果無く、主な症状は、激しい咳噺、喀出し難い疾、午後の潮熱、食思不振、強い疲労感、浅眠等の症候を訴えている症例を診る機会を得た。中医学の理法方穴術にしたがって、肺気陰両虚証ならびに風寒犯肺証と弁証し、前者に対し本治を、後者に対しては標治を行った。使用鍼は、中国鍼0.26×40mm、和鍼デイスポ0.18×40mm、皮内鍼5mmを使い、奇経八脈穴、正経兪穴に浅刺置鍼、灸頭鍼、皮内鍼置鍼等の治療を週一回行った。効果は、症候の消失ならびに体力増強が認められた。中医学による弁証施治は鍼灸治療を理論的に導く指針となると考えた。

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