全日本鍼灸学会雑誌
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鍼灸の安全性に関する和文献(1)
総論
形井 秀一山下 仁楳田 高士江川 雅人谷 万喜子鍋田 理恵濱田 淳宮本 俊和山田 伸之
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キーワード: , , 有害事象, 文献調査
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2000 年 50 巻 4 号 p. 681-696

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抄録

戦後を中心に、鍼灸領域で発症した有害事象および安全性に関する和文献について、検討を行った。 対象は戦後報告された鍼灸の有害事象および安全性に関する242タイトルの論文の中、入手できた233文 献であった。 それらの文献は、JOISと医学中央雑誌のCD-ROM版で「東洋医学、医療過誤、感染、ハリ、キ ュウ」のキーワードで検索した1997年度までの論文、1998年3月までに各委員が自力で収集した論文、ま た、それら全ての論文の引用文献から孫引きしたものである。 入手した233文献のうち、学会誌に掲載された論文が117、商業雑誌が93、著書が16、その他2、不明が 5であった。文献数は、1960年代以降は毎年2桁を記録し、特に70年代以降は急増した。 その内容は、折鍼が68文献(29.2%)と最も多く、次いで、感染42文献(18.0%)、気胸18文献(7.7%)、 治療過誤11文献、灸と教育・啓蒙がそれぞれ15文献ずつと続いている。 60年代と70年代の文献の増加分は鍼灸分野の雑誌の掲載文献数の増加によるが、80年代の増加は、明ら かに、西洋医学雑誌の文献数の増加が要因である。その内容は、折鍼や感染、灸治後の問題などで、鍼灸 師より医師が遭遇する事が多い事象の報告であった。 今回の和文献の検討から、戦後の鍼灸臨床における有害事象の発生状況及び、鍼灸の安全性に関する全 般的な状況が大まかであるが明らかになったものと考える。

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