2000 年 50 巻 4 号 p. 697-704
鍼治療に伴う有害事象に関する和文献について検討した。1900年から1999年までに23文献、36症例が報 告された。神経傷害を引き起こした刺激部位としては頚部、下肢が挙げられ、傷害の生じた部位としては 下肢、体幹部、手部が多かった。症状としてはしびれ感等の異常感覚や疼痛が特徴的であった。神経傷害 の原因としては31例については折鍼等、体内に残留した鍼体が挙げられ、その内22例については鍼体の摘 出が試みられた。また、5例については体内への鍼体の残留が無く過誤を生じたものであり、抗生物質の 投与などが行われていた。