全日本鍼灸学会雑誌
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鍼灸の安全性に関する和文献(4)
灸に関する有害事象
山下 仁江川 雅人宮本 俊和楳田 高士谷 万喜子鍋田 理恵濱田 淳山田 伸之形井 秀一
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2000 年 50 巻 4 号 p. 713-718

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抄録

灸の有害事象に関する日本国内で発表された文献を系統的に調査した。20文献で79件の有害事象が報告 されていた。灸による熱傷が誘因となって起こった可能性が高い事象として,皮膚の悪性腫瘍が9例(基 底細胞癌4例,有棘細胞癌2例,疣贅性癌2例,不明1例),増殖性外毛根鞘嚢腫(良性)が1例,水疱性類 天疱瘡が5例,熱傷による潰瘍が2例,化膿(感染)が1例みられた。文献の記述を参考にすると,直接灸 は,米粒大以下の艾柱による間欠的な施灸がより安全であると思われる。直接灸を行う際には,患者の世 代や過去の受療経験,また地域による文化的・歴史的背景を考慮し,施術前に充分な説明と患者の同意を 得ることが必要である。

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© 2000 公益社団法人 全日本鍼灸学会
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