抄録
今回、変形性腰椎症に合併した梨状筋症候群の1症例に対し、主に右殿部痛の軽減と股関節外旋筋群の筋緊張緩和を目的に鍼灸治療を行い、治療早期から疹痛の軽減、股関節可動域の改善を認めた。鍼刺激が血管拡張物質を介して罹患筋の筋血流を改善した結果、神経絞拠部の除圧が図られたと推定した。また右殿部痛の緩解により、治療5回目以降に腰部や大腿外側部の痺痛を発症したことや画像所見から梨状筋症候群と変形性腰椎症が合併したdouble lesion neuropathy による病変が推定された。近年、胸郭出口症候群についても鍼灸治療の効果について報告されているが、これらの絞拒性末梢神経障害に対して鍼灸治療は筋緊張を緩和し絞拒部の神経や血管に対する除圧作用を促すという点で有用であると思われた。