福井県には計15基の原子炉を擁する原子力事業所が存在し、原子力施設外への放射能漏れがあるような原子力災害のみならず、原子力事業所内での労災事故や通常疾病の発生も多く予想され、そのような事案に対するドクターヘリ対応、特に管理区域内で発生した汚染傷病者への対応を関係機関にて協議し、運航会社運航従事者やドクターヘリ医療スタッフに対する安全性確保に配慮したフローチャートを作成した。1．管理区域外事案、2．管理区域内事案かつ汚染のない場合、3．管理区域内事案で汚染の可能性のある場合、除染後、放射線管理要員により外部搬出可能の評価となった場合には、救急車やヘリ内の養生不要の通常のドクターヘリ対応とすることが基本方針となった。このフローチャートの基本概念は、適切な除染により傷病者の皮膚や着衣などの表面汚染部から出る放射線による二次被ばくの影響を無視できるレベルに減らすことができることであり、運航会社運航従事者やドクターヘリ医療スタッフへの被ばく・汚染に関する教育や連携訓練を継続して実施することが必要である。
