日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
開頭手術中の体位変換直後に空気塞栓を生じた2症例
磯村 朗子田尻 治舘田 武志杉内 登笹野 淳小幡 由美
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キーワード: 空気塞栓, 開頭術, 術中体位
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2004 年 24 巻 10 号 p. 608-611

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抄録

腹臥位および仰臥位での開頭術中, 空気塞栓を生じた症例を経験した. 症例1 : 腹臥位で後頭下開頭術中の体位変換直後に呼気終末二酸化炭素分圧(EtCO2), 経皮的酸素飽和度(SpO2)低下と血圧低下から空気塞栓が疑われた. 頭低位, 亜酸化窒素を中止し, 術野を生理食塩水にて満たし対処した. 術直後の経食道心エコーでは右房内に空気を疑わせる高輝度の所見を認めた. 症例2 : 仰臥位で前頭—頭頂開頭術中, 静脈洞損傷からの出血による術視野悪化に対し頭部挙上位としたところ, 直後に急激なEtCO2, SpO2低下と循環虚脱を生じた. 症例1と同様の対処に加え, 大腿静脈より中心静脈カテーテルを挿入したが空気は吸引できなかった. 開頭術では常に空気塞栓が生じる可能性を念頭におき, 特に術中の体位変換は慎重に行うべきである.

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© 2004 日本臨床麻酔学会
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