2008 年 28 巻 5 号 p. 751-756
産科医療の特徴の一つは一刻を争う緊急手術が多く, 母児救命のため麻酔科との緊密な連携が必要になる点である. 胎児機能不全, 特に遷延徐脈に陥った超緊急事態では速やかな児娩出が可能でなければ神経後障害を残す可能性が高い. 母体救急に関しては前置胎盤など出血性疾患が問題になる. 前置癒着胎盤では帝王切開時に経カテーテル動脈塞栓術, バルーンオクルージョンにより出血をコントロールしつつ子宮摘出術を行うことで出血量の軽減, 入院期間の短縮が可能になる. 母児救急以外にも妊娠中の手術麻酔, 胎児手術の麻酔, 重症例の呼吸循環管理, 無痛分娩など麻酔科医との連携が必要になる場面は多い.