日本臨床麻酔学会誌
Online ISSN : 1349-9149
Print ISSN : 0285-4945
ISSN-L : 0285-4945
症例報告
腹腔鏡下単純子宮全摘術において心電図波形変化を認めた皮下気腫の1例
太田 好紀松田 直之廣田 弘毅釈永 清志畠山 登山崎 光章
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 28 巻 5 号 p. 801-806

詳細
抄録
 腹腔鏡下単純子宮全摘術中に二酸化炭素 (CO2) による気腹で, 動脈血CO2分圧 (PaCO2) が60mmHgを超える高CO2血症を認めた. 用手換気による過換気でPaCO2を40mmHgレベルに正常化することができたが, 再気腹時に左胸部から顔面に至る著明な皮下気腫が出現した. この際, PaCO2が約40mmHgの正常域にあったが, 皮下気腫の胸壁進展の兆候として, 心電図の II 誘導と III 誘導にT波陰転化とRSパターンが観察された. 本症例の肢誘導心電図電極は, 左足の代わりに左下側胸部に貼られていた. CO2気腹における II 誘導や III 誘導の変化は, 皮下気腫の胸壁への進展を示唆する可能性がある.
著者関連情報
© 2008 日本臨床麻酔学会
前の記事 次の記事
feedback
Top