日本臨床麻酔学会誌
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日本臨床麻酔学会第27回大会 シンポジウム—神経筋接合部を意識した筋弛緩投与法とモニタリング—
神経筋接合部に影響する薬物とモニタリング
白石 義人
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2009 年 29 巻 1 号 p. 15-22

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抄録

  筋弛緩薬の効果判定モニタリングのスタンダードはTOF (train of four) である. 神経筋接合部とアセチルコリン作動性ニコチン受容体に影響を与える薬物は多く知られている. 2007年より使用が開始されたロクロニウムは作用発現時間が短いことが特徴である. 筋弛緩薬の拮抗はこれまでは, 抗コリンエステラーゼによって神経伝達物質であるアセチルコリンの濃度を上昇させて, 間接的に筋収縮力の回復を図るものであった. しかし近い将来, シクロデキストリン (スガマデクス) の登場により, ステロイド骨格をもつ非脱分極性筋弛緩薬は効果的に血漿濃度を減少させる. この合成物は水溶性で, 疎水性の内腔をもち, 筋弛緩薬 (特にロクロニウム) と錯体を形成 (包摂現象) する. 神経筋接合部に影響する因子として, 非脱分極性筋弛緩薬同士あるいは脱分極性筋弛緩薬との相互作用, 吸入麻酔薬, 抗生物質, 局所麻酔薬, 利尿薬, 抗痙攣薬, リチウム, 電解質などがあげられ, 広い意味では体温も影響する. その他, ガンタクリウムは非脱分極性筋弛緩薬であるが, 作用発現時間, 持続時間ともに短時間であり, 将来有望である.

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© 2009 日本臨床麻酔学会
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