硬膜外麻酔が優れた麻酔法であることは, 術中に単独あるいは全身麻酔と併用する際において, また, 術後鎮痛においても認識され, その適応は非常に広くなってきている. しかし, 硬膜外麻酔には血腫, 膿瘍, 神経損傷など重篤な合併症のリスクがある. 特に, 抗凝固療法を受けている患者の手術の増加に加え, 術後血栓症予防療法が定着しつつある現状で, 硬膜外血腫のリスクは大きな問題となっている. Patient controlled analgesia (PCA) や末梢神経ブロックの普及で周術期の鎮痛法の幅も広がってきた. 個々の患者のリスクとベネフィットを考慮し, 患者と医療従事者が十分に適応を検討して硬膜外麻酔を実施する時代になったといえる.