2010 年 30 巻 3 号 p. 342-355
吸入麻酔薬は,鎮静・鎮痛・筋弛緩と,麻酔の3要素をもち合わせることから,麻酔科医にとっては使いやすい麻酔薬として古くから利用されてきた.最近,バランス麻酔という概念が普及し,より使いやすい麻薬性鎮痛薬や筋弛緩薬が臨床使用できるようになった.しかし,それでも使いやすい“鎮静薬”としての吸入麻酔薬の役割は色あせるものではない.最も臨床で使用されている吸入麻酔薬はセボフルランであるが,臨床応用されてから20年近く経つ現在でもその利用価値は高い.これまでに臨床使用されてきたセボフルランのエビデンスに基づく特徴を述べる.