2010 年 30 巻 4 号 p. 676-682
経静脈的自己調節鎮痛法(intravenous patient-controlled analgesia:IV-PCA)は,投与経路の確立が容易で硬膜外鎮痛が適応とならない症例にも用いることができる利点がある.しかし,硬膜外鎮痛と比較すると,体動時の鎮痛効果が劣ること,呼吸器合併症の頻度が高いこと,消化管運動機能の回復が遅いことが欠点である.また,オピオイドのIV-PCAだけで鎮痛を得ようとすると,オピオイドの副作用によって術後回復が妨げられることもある.そこで,IV-PCAを用いる際には,ほかの鎮痛法と組み合わせたmultimodal analgesiaによって,オピオイドの弊害を回避しながら鎮痛効果を高める工夫をする方がよい.また,IV-PCAの適応とならない症例があることにも留意する必要がある.