2010 年 30 巻 7 号 p. 959-966
われわれは,最近,上腹部手術に対し症例を選びながらではあるが,全身麻酔に超音波ガイド下末梢神経ブロックを併用し周術期の管理を行っている.併存する内臓痛やブロックの効果不十分領域を考慮し,複数の鎮痛方法を組み合わせた方法(multimodal approach)で対応している.腹直筋鞘ブロックや肋骨弓下腹横筋膜面ブロックは,その特徴を理解して使用すれば,周術期の上腹部体性痛管理の一法として大変有用である.今後の発展が期待できる.課題として,持続注入法の確立や,より簡便な合併症の少ない他方法との有用性の比較・検討がある.