抄録
Selldénらがdietary-induced thermogenesisを利用して,総合アミノ酸輸液により周術期の体温低下を防止したことからアミノ酸の新しい治療効果が注目された.この機序は,アミノ酸により血中インスリンが上昇し,骨格筋タンパク合成が促進されることで熱産生が活発となることがわかった.さらにバリンは単独投与により他のすべての単独アミノ酸よりも,また総合アミノ酸輸液よりも高い体温低下抑制効果を示した.バリンは脂肪代謝を特異的に促進することで熱産生を増加させるが,この反応は褐色細胞にて行われるため,褐色細胞のない成人では無効であったことから製品開発は断念された.