抄録
神経障害性疼痛はペインクリニック診療上,治療が困難な疼痛性疾患の一つである.その理由は疼痛の発生機序が複雑で,機序に見合った鎮痛薬や鎮痛の手段の選択が明確になっていないことがあげられる.本稿では,末梢の神経線維の状態,本症の末梢性疼痛機序に関し,異所性イオンチャネル,神経成長因子の関与,リゾホスファチジン酸の作用,エファプスの発生,アロディニアの発生機序,グリアの関与などにつき解説し,治療においては疼痛機序に見合った鎮痛法を選択することの重要性を強調した.また,近年,本症に対する薬物療法に注目が集まっているので,最近の情報についても解説した.