日本臨床麻酔学会誌
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〔日本医学シミュレーション学会〕短報
1次救命処置の経口人工呼吸におけるラリンジアルマスクSupreme®の有効性─ラリンジアルマスクSoftseal®,フェイスマスク,口対口人工呼吸との比較─
三馬 葵駒澤 伸泰植木 隆介小濱 華子中川 雅史上農 喜朗
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2012 年 32 巻 1 号 p. 133-138

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抄録
  米国心臓協会(AHA)の一次救命処置(BLS)ガイドラインでは,心肺停止時において,医療従事者に対しては,携帯型の一方向弁付きフェイスマスク(以下,フェイスマスク)もしくは口対口人工呼吸を推奨している.今回,ディスポーザブルタイプのラリンジアルマスク(LMA)であるLMA Supreme®(SUPREME)とLMA Softseal®(SOFTSEAL)の人工呼吸における有効性を,マネキンを用いてフェイスマスクおよび口対口人工呼吸と比較検討した.当院麻酔科研修医20名を対象とし,4つの器具の初回換気成功率,換気までの時間,胃膨満の頻度,主観的な難易度(VASスコア)について測定した.初回換気成功率は,SUPREMEは口対口人工呼吸,フェイスマスクの間に有意差は見られなかったが,SOFTSEALに比して有意に高かった(P<0.05).SUPREMEはSOFTSEALに比して有効な換気開始までの時間は有意に短縮していた(P<0.05).胃膨満の頻度は,SUPREMEは他の3つの手法に比して有意に低かった(P<0.05).SUPREMEは医療従事者のBLSにおける人工呼吸デバイスの一つとして有効な可能性がある.
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© 2012 日本臨床麻酔学会
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