抄録
フェンタニルの術後1日分の効果部位濃度を線形3コンパートメントモデルで推定して,それを基にIV-PCAメニューを作成し,その推定効果部位濃度と術後の鎮痛効果の関係を検討した.薬物動態シミュレーションの結果,手術終了2時間前までに,50kgの標準体重の患者では,フェンタニル300μgのプライミングとIV-PCA 25μg/hrの持続投与開始を基準とすることで,術後,1ng/mlの安定したフェンタニル効果部位濃度が維持できた.また,中等度の疼痛が予想される非開腹手術では,覚醒時のフェンタニル効果部位濃度を1.4ng/ml程度,術後は1.0ng/ml程度に維持することで,有用な疼痛管理が可能であった.