日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
上行大動脈瘤による気道狭窄に対し経動脈的瘤内コイル塞栓術後気管ステント留置術を施行した1例の麻酔経験
岡本 さくら宗宮 奈美恵横山 幸代水谷 吉宏富田 彰
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2017 年 37 巻 3 号 p. 317-322

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抄録

今回われわれは,手術不能例として経過観察中に急速な気道狭窄をきたし,緊急気管ステント留置術となった1例の麻酔管理を経験した.症例は71歳男性.上行大動脈瘤による重度の気道狭窄に対し,シリコンYステント留置が予定された.手術開始前に,大腿動静脈よりPCPSをスタンバイし,瘤破裂のリスクを軽減するため,動脈瘤にコイル塞栓を行った.コイル塞栓後に全身麻酔導入し,硬性鏡によるステント挿入術が施行された.術中は一時的にPCPSを使用した.各科の連携により,安全に麻酔管理を行うことができたが,約1カ月後に喀血のため死亡された.予後の限られた症例に対してどこまでの医療行為を行うかは,過剰医療とならないよう十分検討すべきである.

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© 2017 日本臨床麻酔学会
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