2017 年 37 巻 5 号 p. 661-667
抗血栓療法を受けている患者に脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔を施行することは,重篤な合併症である血腫を生じるリスクが増す.周術期に抗血栓療法を受ける患者が増加していることにより,これらの麻酔を施行する場合の抗血小板薬や抗凝固薬の休薬の是非と休薬期間への関心が高まっている.それを受けて日本版ガイドラインが作成された.血腫はまれな合併症であるため,その正確な発生頻度や薬物の影響などを前向きに調査することは難しいが,ガイドライン作成にあたっては,血腫の発生頻度やそれに影響する因子などを検討した.