2018 年 38 巻 5 号 p. 712-717
産科危機的出血は妊産婦死亡の最大の死因であり,その原因としては羊水塞栓症が最も多く,次いで子宮破裂,弛緩出血が多い.出血の早期診断,原因検索,産科的止血の実施,赤血球製剤と新鮮凍結血漿などの輸血療法の早期開始,高次施設への妊婦の移送,放射線部と協力したインターベンショナルラジオロジーなどを行う.フィブリノゲン補充では,新鮮凍結血漿に加え,必要に応じてクリオプレシピテートや濃縮フィブリノゲン製剤の投与を考慮する.産科危機的出血への対応指針2017についてよく理解しておくことが必要である.麻酔科医,産科医だけでなく,放射線部,輸血部などとの良好なコミュニケーションを日頃から築いておくことが重要である.