2020 年 40 巻 1 号 p. 32-37
麻酔科医が,他科の医師から痛みの治療の相談を受けることがある.本稿はそのような場面での適切な対応方法を主題としている.痛みの相談を受けるには,痛みに関する基礎的な知識が必要である.痛みの性質によって有効な薬剤が異なっているので,患者の病態に合わせた選択が必要である.複合性局所疼痛症候群(CRPS)は,軽微な外傷で重篤な症状に進展することがある.CRPSが疑われた際は早期に専門の施設を紹介するべきである.軽度の頭痛でも,くも膜下出血や椎骨動脈解離のことがある.痛みが悪性腫瘍の初発症状のこともある.患者を診察し,診療録に記録を残す習慣をつけることが必要である.