2020 年 40 巻 3 号 p. 293-300
今日まで順調な発展を遂げてきた硬膜外麻酔において,最近は合併症が多く,医療事故も麻酔科関係の半数を占めている.全国の大学病院麻酔科にアンケート調査をしたところ,硬膜外腔の確認を確実にできるhanging drop法のできる金属針が放逐され,hanging drop法のできないディスポーザブル針に変わり,硬膜外腔の確認法が硬膜誤穿刺等の危険のあるloss of resistance法になっていた.このため研修医に硬膜外腔穿刺をさせない大学が1/3もあり,硬膜外麻酔が危機にさらされている.現代では硬膜外麻酔は必須の鎮痛・麻酔法であり,その進歩を粗雑な針で後退させてはいけない.合併症の原因が,医師の技量よりも針に問題があるのなら,安全・確実にhanging drop法のできる良いディスポーザブル針を作る以外に良策はない.