遷延性術後痛は患者の生活の質を損なう深刻な手術合併症であり,その治療では,疼痛治療医の参画した集学的治療が重要とされている.遷延性術後痛が侵害受容性疼痛の場合はアセトアミノフェン,非ステロイド性抗炎症薬,オピオイド鎮痛薬などを選択して処方する.神経障害性疼痛の場合は,ガバペンチノイド(Caチャネルα2δリガンド),抗うつ薬,オピオイド鎮痛薬を選択して処方する.また,神経支配に一致した部位に手術侵襲による痛みが見られ,薬物療法が奏功しない場合は局所麻酔薬単独またはステロイドを併用した神経ブロック,ボツリヌストキシン療法,高周波熱凝固やパルス高周波治療などによる低侵襲的な治療を試みる.