通常の手術においては,呼吸トラブル時の低酸素発現までの時間的猶予を取りながら,吸収性無気肺や高濃度酸素による急性肺障害を避けるため60%未満の吸入酸素濃度で呼吸管理することが重要である.その中で,麻酔科医が安全と考える最低濃度の吸入酸素濃度を選択し,肺胞開存度を維持することが重要と考えられる.分離換気を必要とする呼吸器外科手術に関しては,良好な手術視野確保のために肺の虚脱を促進することが重要である.分離換気前は純酸素を用いるなど可能な限り脱窒素を行い,吸収性無気肺を効率よく誘導することが重要である.肺の虚脱により良好な手術視野を提供することで,手術の機械的侵襲を軽減できる可能性が考えられる.