2024 年 44 巻 1 号 p. 37-41
良質で信頼の置ける専門医の育成は学会の使命である.麻酔科の専門医試験では,教育目標分類学の認知・情意・精神運動の3つの領域を,筆記・口頭・実技の3つの試験で評価しようとしている.一方,教育と言った場合「試験(評価法)」だけに注視するのは片手落ちである.受験生が合格基準に到達できるような継続的な教育機会を与える枠組みが重要であるが,そこを「ある一定の基準を満たして認定されたプログラム」に任せたままでは,結果として試験日において基準に満たない受験生を一定程度生み出してしまう可能性を払拭できない.学会が主体となり,特に情意・精神運動の領域のスキルを高めるような取り組み,教育学の用語を用いると形成的評価をできる仕組みが必要であろう.