2024 年 44 巻 2 号 p. 217-222
2022年は京都府立医科大学の源となる京都療病院が開院した明治5年から150周年の節目に当たる.同年に開催された日本臨床麻酔学会において,療病院の初代外国人医師・教師として医療の近代化に貢献したFerdinand Adalbert Junker von Langegg(Junker)を顕彰する講演会が開催された.本稿は講演内容を再構成したものであり,明治維新期に近代国家建設のために雇用された“お雇い外国人医師”の中で,唯一の麻酔科医であったJunkerと,彼が1867年に開発し,後世まで改良が重ねられ使用され続けた麻酔器Junker’s inhalerについて顕彰する.
3回連載の最終回では,療病院でのヨンケルの評判と彼の日本への関心,および離日後の足取りと仕事,そして晩年について,Junker’s inhalerの改良の歴史を交えて述べる.